前編、中編はこちらから。
45キロ地点のレストステーションを後にした私。
途中棄権の誘惑を振り切りゴールを目指すものの、想定ペースより遅れ、しかも体はすでに疲労でいっぱい。
制限時間に間に合わせるためには走らなければならないのだが、走ることができず、早歩きで前に進む。
ゴールまでまだ残り半分もある中、かなり厳しい状況。
しかし、そんな私にはひとつの心の拠り所があった。
それはこの大会に向けて行ってきたこれまでの練習。
特に4月の60キロ走と5月の70キロ走だ。
4月の60キロ走では、目標の1キロ7分ペースできっちり60キロを走り通すことができた。
これは100キロ完走に向けてとても自信になった。
そして5月の70キロ走。
実はこっちは失敗に終わっていた。
40キロで疲労で走れなくなったのだ。
そのためその日はそこで練習を辞めようかと思ったのだが、練習後特に他に予定もなかったため、とりあえずそのまま歩き続けてみることに。
するとどうだろう。
20キロばかり歩いたところで体力が回復してきたのを感じ、そこから残り10キロはなんとしっかりと走ることができたのである。
結果、当初の想定ペースからそこまで遅くならずに70キロを走り終えることできた。
これは本当に驚きだった。
途中で歩いてしまったらもうおしまいだとばかり思っていたが、そんなことはなく、歩き続けていればまた走れるようになるのを身をもって経験できた。
70キロ走としては失敗だったが、100キロのための練習としては成功だったのだ。
このときの経験から、きっと今回も、
『今はきつくてもまた絶対に走れるようになる。』
そう信じて前に向かい歩き続ける。
55キロ地点通過。
65キロ地点通過。
『おかしい。』
20キロ歩いたのに、あの時のようには体力が回復してこない。
疲労の度合いが大きいのであろうか。
しかしこのまま歩き続けていたら制限時間に間に合わなくなる。
『もう走るしかない。』
幸いなことに日も陰り、走るには絶好のコンディション。
時刻は17時。
残り35キロ、残り時間は5時間だ。
覚悟を決め走り出す。
80キロ地点通過。
時刻は19時。
辺りはすっかり暗くなる。
ただコース上の所々には投光器の光が。
その光を目指して懸命に進む。
何回も何回も時計を見て、残り時間を確認する。
時間は刻一刻と過ぎていくのに、残りの距離は一向に減らない。
途中何度も歩くものの、またすぐに走り出す。
進むしかないのだ。
ふと遠くに明かりが見える。
『提灯!? ゴール地点だ!』
スタート時にはわからなかったが、ゴール直前のコース脇には提灯が並び、明かりが灯されている。
ついに12時間前にスタートした場所、ゴール地点に戻って来られた。
思わず涙が込み上げてくる。
しかしまだだ。実はここは90キロ地点。
このゴールを横目に見ながら、5キロ先の折り返し地点まで行き、再度戻ってきてようやくゴールとなるのだ。
あと10キロ。
今のペースでは制限時間ぎりぎり。
でもこれ以上速くは進めない。
ゆっくりながらも必死で進む。
5キロ先の折り返し地点が全然やってこない。
普段の練習では5キロなんてあっという間なのに、この日ばかりはものすごく遠い。
ようやく折り返し地点に到着。
残り5キロ。残り時間53分30秒。
早歩きでも間に合うところまできたが、もし最後にトイレに行きたくなったとしたら間に合わない。
まだ油断はできない。
必死で進む。
残り2キロ。残り時間29分。
『やった。もう大丈夫だ。』
ここでようやくゴールを確信。
ゴールの提灯が近付いてくる。
本当にきれい。
そして21時51分。
ゴールに到着。
『よかった、間に合った・・・。』
制限時間の9分前になんとか無事にゴール。
そして欲しくてたまらなかった100キロウルトラマラソンの完走メダルをかけてもらう。
やった!とかうれしい!というよりも、ゴールできた安心感で胸はいっぱい。
けれども完走賞のオリオンビールを受け取ると、迷わずその場で飲み出してしまう私。
それを見ていた隣の人が「死んじゃう~。」と一言。
やっぱりうれしかったんでしょう、私。
そのまま最高の気分で帰宅。
ものすごく疲れているのにもかかわらず、頭は興奮状態。
翌朝すっかり明るくなるまで全く眠くなりませんでした。
土曜日開催の日曜休みでよかったです。
こうして私の初めての100キロウルトラマラソン挑戦は幕を閉じました。
記録:13時間50分26秒(ネットタイム)
東京江戸川ウルトラマラソンについてはこちら↓
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