前編はこちら↓
いよいよスタートした
「2013年 第1回 柴又100K」
「コース」
江戸川河川敷の柴又公園をスタートし、江戸川沿いに北上。
埼玉県を通り過ぎ茨城県五霞町まで。そこで折り返しスタート地点まで戻ってくるコース。
今回の私の目標は、制限時間となる14時間ぎりぎりでのゴール。
フルマラソンまだわずか2回完走と経験も浅く、実力も自己ベスト4時間8分とまだまだ。
そんな私の100kmウルトラマラソン初挑戦。
想定ペースは以下の通り。
・45キロまで1キロ7分ペース。5時間15分。
(これに、給水やトイレで10分プラスして5時間25分。)
(さらに45キロ地点のエイドで5分休憩。5時間30分。)
・60キロまで1キロ7分ペース。7時間15分。
・70キロまで1キロ8分ペース。8時間35分。
・80キロまで1キロ9分ペース。10時間5分。
ここまで来れば、残り20キロを1キロ10分ペースで進んでも13時間25分。
途中、給水やトイレ等で30分時間を使うことができる。
ポイントは60キロまでを1キロ7分ペースで行くこと。
そうすれば後半だいぶ余裕ができる。
そしてそれは、事前の60キロ走の練習で実際にクリアできていたペースだ。
『大丈夫、行ける。』
そう思い、走る私。
最初の5キロが33分。次も33分。
想定の5キロ35分より少し速い。
どうしようか迷ったが、この後暑くなることが予想されたので、今のうちに距離を稼ぐのはアリかと思い、このまま行くことに。
1キロ6分35秒ぐらいのペースで進み、25キロ地点を通過。
『何かおかしい。』
この辺りから異変を感じ始める。体が重い。疲労だ。
まだ30キロもいっていないのに。
『暑さだ。』
梅雨入り前の東京。
雲一つない快晴。
自分が感じている以上に暑いんだろう。
そしてたまらず30キロ手前で早くも歩き出してしまう。
『マズい。』
歩きながら頭の中はパニック。
まさか30キロも行かないうちに歩くことになってしまうとは。
想定ペースからどんどん遅れていく。
しかし今ここで走ったら、とても最後まで体がもつとは思えない。
仕方なく、歩きと走りを混ぜながら進んで行く。
『とにかくまずは45キロまで。』
そう思い、懸命に進む。
45キロ地点には今大会最大のレストステーションが用意されている。
そこでレースプランを立て直す算段だ。
歩きながら、頭の中でレストステーションでのシミュレーションをする。
予定よりも遅れているので、のんびりしている暇はない。
手早く給水、給食を済ませ、コースに復帰しなくては。
幸い、他のランナーもおそらく制限時間を気にしているだろうから、その雰囲気に合わせ、とにかく早く。
そんなことを繰り返し考える。
そして辿り着いた45キロ地点の五霞町レストステーション。
そこでの光景に、私は目を疑った。
みな、の~~んびり、しているのである。
ある人は仰向けに寝っ転がり、
またある人は仲間どおし座り込んで、楽しく飲んで食べてといった具合。
まるでここがゴール地点かのような、穏やかな雰囲気。
時が止まったかのよう。
思わずあっけにとられ、立ちつくす私。
素早く立ち去るつもりが、ミニトマト、オレンジを手に取ると、その場の空気に飲まれ、とうとう空いている場所に座り込んでしまう。
『どうしてみんなこんなにのんびりしているんだろう?』
頭の中はますますパニック。
ここから走って巻き返すのであろうか。
時間を確認する。
「5時間41分。」
すでに予定を11分オーバー。
そのうえ、疲労もかなりのもの。
ゴールへの気持ちがどんどんしぼんでいく。
ふと、このレストステーション脇に停められている観光バスが目に入る。
『なんでここに観光バスが?』
そう思った瞬間、はっと気付く。
『回収バスだ!』
ここ45キロ地点は関門になっており、制限時刻を過ぎるとリタイアとなる。そのリタイア者を乗せるバスなのだ。
バスに乗った場合のことが頭に浮かんでくる・・・。
この暑い中、冷房の効いたバス。
あれに乗れば、最初にいたスタート地点まで勝手に連れて行ってくれる。
もう走る必要なんてない。
走る必要なんてないから、あとは今ここで飲み放題、食べ放題だ。
そしてバスの出発時間までのんびり寝っ転がっていられる。
辺りはのどかな景色。ピクニック気分。ちょっとしたいいバス旅行だ。
いいんだ。だってもう45キロも走ったし。
フルマラソン以上だよ?
充分すごい経験ができたじゃないか。
残りはまだ55キロもある。半分以上だ。
今からじゃもう無理だ。
ここまでよくやったよ・・・。
そんなことがどんどん頭に浮かんでくる。
刻々と過ぎていく時間。
『どうする?』
自分に問いかける。
ゆっくり立ち上がると、コースに向かって歩き出す私。
『このままずっとここにいたい。』
そんな気持ちで心はいっぱい。それでも前に進む足。
後ろ髪を引かれる思いだったが、
『行けるところまで行こう。』
意を決しコースに戻る。
と、その時、
「がんばって~!!」
と声援が。
現地の人からの応援だ。
今まさにコースに戻り進み始めようとした私に、この上ない、いいタイミングでの応援だ。ありがたい。心に響く、届く応援とはこのことか。
『やはりなんとしてでもゴールまで行かなくては。』
ゴールに向かって進み始める。
残りは55キロ。
「2013「柴又100K」ウルトラマラソン初挑戦!(後編)」に続く。
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